[177] 労働生産性 改善続く 昨年度、1人当たり739万円(日経新聞)

日本の労働生産性が改善しつつある。財務省の集計では2017年度に1人当たり739万円と、1960年度以降で最高になった。」H30.9.15土 日経5面 総合4

これが明るい記事なのかどうか… よく考えてみる必要があります!


財務省は企業活動によって生まれた付加価値を、従業員数で割って労働生産性を示し、… 付加価値が上がる一方で、価値の上昇分より従業員数の伸びが小さく、生産性の改善につながった。」同記事



生産性の計算はこの記事にあるとおり、稼ぎ出したお金(付加価値)を働いた人の数で割り算することにより求めるのでした。




稼ぎ出したお金というのは、すこしワイルドですが売上から原価を引いたものと考えてもよいと以前解説しました。


この式にあてはめて先ほどの記事を一部読み替えてみます。


『稼ぎ出したお金』は増えしましたが、『働いた人の数』はそんなに増えず、結果的に、生産性が向上しました‼

どうして働く人の数をさほど増やさずに分子の数を増やすことができたのでしょうか?まさか、働いている人が、いままでサボっていた社員が突然燃え始めた‼とは考えにくいですし、精神論的なことは一時的なことが多くビジネスとは言い切れません。

17年度は製造業が1人当たり865万円と10年ぶりの高い水準。」同記事

さらに業種別にみつと、化学工業が1300万円超と高い。」同記事

自動車・付属品製造業は1100万円超とリーマン後の1.5倍超になった。」同記事


ふむふむ…


製造業などは、例えば新しい機械が会社に入り手間暇をかけることなく品質の高い製品がたくさん作れるようになれば、売り上げを上げ原価率がかわらなくとも、分子を大きくできたということかもしれません。

お客様に「3か月待ちです…」と言っていたのを「来週お持ちします!」となるとたくさん売ることができます。経済学で言うところの機会損失を回避したということです。

情報通信業などが改善している。」同記事

スマホなどの移動体通信のみならず、グーグルなどが手掛けるネット広告は需要が高まっており、もともと売り上げが右肩上がりであることが多いので、働く人の数が同じでも生産性があがることはあると思われます。

ただ、非製造業のうちサービス業は改善のペースが鈍く、生産性は低いままだ。」同記事

ああ、やっぱりね!

働く人のパフォーマンスが大事なサービス業は、製造業のように機械を買ってくれば世界が変わる!ということはあまり期待できません。

すこし前に「ブラックペアン」という医療ドラマが嵐の二宮和也さん主演で放送されましたが、そのストーリーは小泉孝太郎さんが演じる東京のドクターが新しい医療機器を二宮さんが演じるドクターのいる病院に持ち込んで難しい手術を誰でも簡単にできるようにして、まさに生産性を上げようと目論むというお話でした。

この通りにいくとするならば、製造業みたく医療現場の生産性も向上するはずです。

医療、福祉業などは少しずつ改善している」同記事

なるほど小泉孝太郎さんが頑張っているのかもしれません。

ところが…

飲食サービス業は332万円と4年ぶりの低い水準となった。」同記事


先日事務所の近くに新規開店した吉野家に行って「牛丼卵味噌汁」の個人的定番昼食を注文しましたが、残念ながらなかなか配膳されませんでした。

従業員のほとんどが外国人で、そのせいだと思いたくはありませんが、昔も今も「旨い安い早い‼」の吉野家であってほしいと個人的には思っています。

製造業では工場内のロボット導入など自動化が進むが、小売りなどサービス業でも「機械を活用し、思いきって人を減らす工夫が必要」と見通す。」同記事

ええぇ… 外国人ならぬ ペッパー君が牛丼を配膳ですか…

頑張れ!吉野家!

2018年10月09日