「ドトールコーヒーは9月、非正規従業員向けの退職金制度を導入した。」H29.9.26火 日経新聞
9月といってもこれは昨年の記事です。
このころから人手不足への対応策としてドトールはいちはやく退職金制度導入を人手不足への対策としていたということです。
「店内のスタッフ同士のコミュニケーションをよくする‼」とか「新人には先輩がメンターとしてやさしくお仕事をおしえます‼」などの人的努力に効果がないとは言いませんが、退職金制度導入の強さは別次元だということです。
「退職金がでます!頑張りましょう‼」
この一言の破壊力は計り知れません。
「ドトールは、オリックスが提供する確定給付型の企業年金基金を活用する。」同記事
はやりの確定拠出ではなく、確定給付を利用するということです。この両者は言葉はなんとなくよく似ていますが、確定拠出がアクティブ型、確定給付は堅実型(パッシブ型)というイメージです。違いはたくさんありますが、いずれも国が認めた仕組みですので、安全な仕組みだと思います。
「ドトールが毎月100円を掛金として積み立て、従業員も月給の10%以内で、1000円から2万円までで毎月積み立てられるようにする。」同記事
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これは!
ドトールが毎月100円出す…つまりひとりあたり年間1200円しか!出さない!ということが書いてあります。
それに対して本人は最低でも月1000円ですから、ドトールの10倍以上を自分で負担するという意味になります。
これ積立貯金やん!
そうなのです!これは働いているあいだに自分のお給料から積み立てた分が退職時にもらえるという制度で自分のお給料を積み立てているようにみえます。
しかぁし!
単純に積立貯金かというとそうでもありません!
ドトールが月100円をチャージしてくれますので、たとえば最低の月1000円の積み立てをしているとすれば、年間で合わせて13200円です。(1000円×12カ月+100円×12カ月)
ドトールの100円を利息だと考えると年利回りは11%ということになります。
(13200円÷12000円×100=11%)
さらにこの年間13200円は0.3%の利率で運用をしてもらえます。現在の定期預金の利率が都銀で0.01%程度ですので、30倍の金利が付くということになります。
またつみたてる月1000円は非課税になるはずですので、最低の税率で考えても5%は節税できるということになります。
基礎控除や給与所得控除の範囲内であれば、効き目はありませんが、積み立てるお金1000円がそもそも「給与」にあたるのかそうでないのかは、一度調べてみる価値はあると思います。(ちなみに選択制確定拠出年金の場合は「給与」ではないという厚労省の見解があります。)
これらを単純に加算しただけでも、まれにみるよい利回りになるということです。
年利回りで考えると大変お得な積立制度だということがわかります。
これは本人視点ですが、会社視点としても「たった100円で!」モチベーション高く働いてくれて、辞める人がすくなくなり、求人コストがおさえられ、本人がよろこんでくれるのならば、制度を導入しない理由はないと思います。
「サイゼリヤは8月、パートとアルバイトを含む従業員に対し、自社の株式を給付する株式給付信託(日本版ESOP)を導入した。勤続年数に応じてポイントを付与し、退職時に累積したポイントに相当する株式を給付する。」同記事
このようにドトールの確定給付に限らず、そのほかにも制度構築の方法はあります。いずれも金融商品を絡めた制度ですので、すこし難しいところもありますので、制度導入には詳しい人に聞いてみるのがいいと思います。