「非喫煙者や身長と体重のバランス(BMI)や血圧などで …その分、加入時から保険を割り引く商品は以前からあった。」H30.8.18土 日経19面(マネー&インベストメント)
先回に続いて保険の話題です。
この記事で紹介されている保険の新商品は、補償内容としては所得補償保険だったり、傷害保険だったり、医療保険だったり、またはそれらの組合せだったりということですから、旧来とそんなにおおきく違うものではありません。
この記事のポイントは、保険はもしもの時に保険金を受け取るためには保険料を支払う必要がありますが、その保険料を健康に留意すればまけてあげましょう!という点が新しいということです。
これに似たような保険でとても身近なのが自動車保険です。加入するときや更新するときに免許証の色がゴールドだったら割引率が高いとか、無事故を続けていると保険料が下がるという仕組みです。
それの医療、傷害保険版だと考えればピン!とくると思います。
「住友生命保険が7月に発売した「バイタリティ」は健康診断の結果にとどまらず、腕時計型のウエアラブル端末で日々の歩数や心拍数を測定し、健康増進への「取り組み」も評価して保険料を変動させる。」同記事
わたしの車に取り付けられているカーナビは、アクセルの踏み方やアイドリングの時間や燃費効率などを総合的に判断してある基準をクリアーしていると「今日の運転はエコドライブでした。次回も安全に注意しエコドライブを心がけてください」とコメントと共に釘を刺してきますが、この記事の医療保険を自動車保険に置き換えると「エコドライブを続けていると自動車保険の割引率がよくなりますよ!」というような商品だということです。
具体的にはこの医療保険「バイタリティ」は加入の時にいきなり!15%割引をしてしまうようです。自動車保険は新規加入の時に1等級ではなくいきなり6等級でスタートしますので、この点もとてもよく似ています。
15%割引でスタートして最大30%割引まで保険料がさがるという商品です。ちなみに自動車保険は6等級でスタートして最大20等級まで保険料がさがるのはよく知られていることだと思います。
「特典は保険料の割引と併せて日々の健康増進の動機づけにし、保険金の支払いを減らすための仕組み。」同記事
保険会社視点でこのように記されていますが、たとえば会社が契約者になり従業員を被保険者として、この健康増進型保険に加入したとすると、従業員にとっては福利厚生の充実につながりますし、会社にとっても従業員をファーストの姿勢は採用活動などにプラスになる可能性があります。この保険料の割引が従業員の賃金に還元できる仕組みを福利厚生規程等に作りこみ、健康維持のインセンティブが従業員に生かせるならば、病気やけがになりにくくなり、会社の生産性も向上するかもしれません。
保険単独ではあがったさがったに一喜一憂するだけにすぎませんが、会社の制度に組み込んで整備構築すれば、とても充実した制度に仕上がる可能性を感じます。
「大手生保では明治安田生命保険も来年4月、保険料の一部をキャッシュバック(現金還元)する健康増進型保険を発売する。同社は「保険に行動を縛られたくない顧客が多い」(根岸秋男社長)と判断から、毎年の健康診断の結果だけを評価対象にする。」同記事
提供する保険会社によって商品の性質もすこし違うようです。
「生活習慣病のビックデータ分析や高機能ウエアラブル端末の開発などによって、健康増進型保険はさらに広がりそうだ。」同記事
この分野にも社労士が活躍できる場面がありそうです。