[122] 人への投資 解を模索 非正規手当・休み方改革… 焦点様変わり(日経新聞)

2018年の春季労使交渉は正社員の月例給を底上げするベースアップ(ベア)に議論が終始する従来型の交渉と一線を画した。」H30.3.17土 日経

これは昨年の春闘でトヨタ自動車が扶養手当を順次廃止し、その原資を子ども手当てに振り向ける。そして結果的に1100円のベアが実現されるという手法で、基本給ではなく、手当てを改革していく方向にかじ取りをしたことが、ひとつの転機になったのだと思います。

そしてその流れが今年も脈々と続いているという記事です。

それらを総じて「人への投資」と呼んでいるようですが「人への投資」イコール「手当改革」と即断してしまうと、すこしちがうということになります。

なによりもそのように単純に呑みこむと、ことの理解が深まりません。

先回、トヨタ自動車の豊田章男社長の労使協議会での発言をご紹介しましたが、その言質ににじみ出ていると思いますが「投資」なのですから、過去の業績に対する「論功行賞」ではないという意味や意図が織り込まれているということに留意する必要があります。

「これだけやったから、これだけ払え!」というA対Bのバーサスの関係ではなく、「こんな給料がもらえる会社だったら、もっと稼げるようにしたい!」というA with B のアライアンスの関係にしたいということだと、わたしは思います。

いずれの会社にも、このような意図があるという視点で、今年の春闘で報道された「人への投資」傾向と思われる施策を整理して、まとめをしてみたいと思います。


(トヨタ自動車)
・「トヨタは期間従業員の日給の100円上げ」H30.3.7土 日経

・「トヨタは…2年以上働く期間従業員には子ども1人あたり月額2万円の家族手当の支給を決めた。」H30.3.7土 日経

・「期間従業員向けに正社員と同額の家族手当(月二万円)」H30.3.15木 中日

・「子育て中の従業員の夜勤を代わる人向けの手当て(月四万円)を新設する。」H30.3.15木 中日


(契約社員・再雇用者・新卒)
・「KDDIは販売現場などで働く契約社員約200人について、2年連続で一時金を増額する。」H30.3.7土 日経

・「ベア1000円 クボタ実施 再雇用者も対象」H30.3.14水 日経

・「明治安田生命保険は2019年4月から、総合職の初任給を11年ぶりに引き上げる方針だ。」H30.3.15木 日経


(労働時間)
・「日立製作所は終業と始業の間に最低11時間の休息を確保する「インターバル制度」を導入する。」H30.3.7土 日経

・「日立製作所の労組は、納期逼迫など繁忙期での年960時間の残業上限を、720時間に引き下げるよう経営側に求めた。」H30.3.9金 日経

・「富士通は繁忙期を含む残業時間を月100時間から80時間とすることで労使協議」H30.3.9金 日経

・「ホンダの労組が18年交渉とは別に、研究開発など残業が多い事業所でも年720時間の上限を協議している。」H30.3.9金 日経

・「UAゼンセンは深夜勤務を続けてできる日数を原則3日までに短縮することを要求した。」H30.3.9金 日経


(休日・有休)
・「味の素は…年にかかわらず休日数を一定にすることを決めた。2900円のベアと同じ効果があるという。」H30.3.7土 日経

・「島津製作所は17年12月、有休のうち5日分を1時間単位で取れる制度を始めた。パートを含めた全従業員が対象だ。」H30.3.13火 日経

・「三菱自動車の労組は、祝日や大型連休の前後などを対象とした休暇取得の促進を議論している。」H30.3.13火 日経

・「ダイハツ労組は経営側と協力し、有休の完全取得を職場や個人に呼びかける方針。」H30.3.13火 日経


(子ども・介護関連)
・「パナソニックも小学生以下の子どもがいる工場勤務の社員らが要求すれば午後10時以降の深夜勤務を免除される制度を導入する」H30.3.7土 日経

・「パナソニック労組は配偶者の出産や育児、親の介護、子供の学校行事など家庭の事情で取得できる有休の一種「ファミリーサポート休暇」を使いやすくするよう求めた。」H30.3.13火 日経

・「NECの労使も、介護や学校行事などのための特別休暇を1時間単位で取れるよう見直すことを協議の対象にしている。」H30.3.13火 日経


このように昨年にはあまり見かけなかった「働き方」をテーマとする労使交渉が増えてきているのが、今年の春闘の特徴だと思います。

「働き方改革」をテコに、春からは「働き方」が変わっていく年度になるのかもしれません。

もうすぐ4月新年度です!桜が満開です!


2018年03月29日