前回2018春闘（春季賃金交渉）が3月に着地する前に！急いで昨年2017春闘のおさらいをしてみました。

たくさんの新聞記事があったこと、着地のピークは3月中旬と下旬だということが分かったと思います。もうすぐ３月がやってくるので、いそげ！いそげ！ですよね。

で？ 内容は？

ここ大切ですね…

そこで前回記事掲載の時系列でリストアップした記事見出しを、テーマ別に整理してみました。

昨年春闘（春季賃金交渉）のポイントは、ズバリ！３点だったと思います。

① ベア縮小

②賃金格差縮小

③ 若手優遇

すこし解説しておきますと、まず「① ベア縮小」についてですが「ベースアップ（ベア）を四年連続で実施することを決めたが、人件費の上昇に慎重な姿勢を崩さず、多くの大手企業の引き上げ幅は二年連続で前年割れした。」H29.3.16木 中日 この事実を押さえておく必要があります。

言い換えますと、ベースアップのピークは2015年であり、ベースアップはしているのですが、その額は2016年 2017年と二年連続で下降傾向にあるという事実です。

「① ベア縮小」に関する記事

・官製春闘 失速 ベア4年目で最低 残業、看護…「働き方」にシフト H29.3.16木 中日

・賃上げ2.06％ 昨年と横ばい 平均6270円 連合が第1回集計 H29.3.17金 日経

・賃金交渉’17 賃上げ2％以下の公算 中小・非正規 消費回復の鍵 物価上昇が重荷に H29.3.16木 日経

・賃上げ・働き方 両方探る 労働市場変化に対応 春季交渉 ベア「縮小」6割 経営者アンケート H29.3.16木 日経


次に「② 格差縮小」ですが、ベースアップだけに着目すると！ 2017年は親会社と子会社… この言い方が適当かどうかはわかりませんが、イメージとして… 親会社のベースアップ額よりも協力会社（子会社？）のベースアップ額の方が多くなった！ つまり逆転現象が起きた！（記念すべき？年だった）ということです。

しかし以前にご紹介しましたが、トヨタ自動車など「本体」の会社にはこのベースアップのほかに「ワンショットベア」と呼ばれている子ども手当ての増額分などがありますので、単純に「記念すべき！」とは言えないところが、もやもやするポイントです。

しかし今までなかったことが起きた！ということは記憶しておくべきことだと思います。

「② 格差縮小」に関する記事

・グループ13社、トヨタ超え ベア1400～1500円回答、慣例崩れる H29.3.16木 日経

・トヨタ超え グループ32社 ベア中部各社「格差是正の雰囲気」H29.3.16木 中日

同日の記事にもかかわらず会社の数が13社と32社の違いがあるのは、対象とする会社数つまり分母が異なるからです。日経が「デンソーなど主要14社のうち13社」としているのに対して、中日は「グループ各社や取引先で十五日に回答のあった六十三社のうち、半数以上の三十二社」としています。分母の選択はそれぞれの新聞社の方針でしょうね。

社員の山岡士郎を使うか… 外部専門家である海原雄山を起用するか… という方針の違いのようなものでしょうねｗ…。

・車業界ベア 中小が逆転 完成車メーカー上回る 春季労使交渉 相場形成の構図変化 人手不足背景 経営の重荷にも H29.4.5水 日経

・ベア、トヨタ超え37組合 全トヨタ労連 昨年と比べ大幅増 H29.4.5水 日経

・ベア トヨタ超え37組合 全トヨタ労連 前年９から大幅増 H29.4.5水 中日

・賃上げ平均7076円 連合愛知 春季交渉の中間集計 大手・中小格差「縮小の流れは続く」H29.4.8土 日経

・賃上げ２％超 維持 大手と中小 やや格差縮小 H29.6.10土 中日

・中小ベア、トヨタ上回る JAM傘下1328円 人手不足が要因 H29.8.22火 日経


最後に「③ 若手優遇」ですが、これにはとりもなおさず人手不足の現状があることは間違いありません。実は…すべての職種で人手不足が起きているわけではないのですが、注目すべきなのは「現場」系の職種では経営を左右するレベルの課題になっているということです。清水、竹中、ヤマト… いずれも「現場」系ですね。

そして「働き方改革」の影響が大いにあると感じます。

「働き方改革」の９つのテーマの7番目は「女性・若者が活躍しやすい環境整備」です。そしてその7番目のテーマを実現するための３つの対応策が示されていますが、その2番目が「女性活躍の推進」3番目が「若者の活躍」です。

これへの具体的なアンサーが春闘（春季賃金交渉）に織り込まれていると思います。

「③ 若手優遇」（賃金）に関する記事

・待遇格差 是正に動き 清水建設、一律ベア1万円 H29.3.16木 日経

・賃金交渉’17 竹中、ベアで若手優遇 社員一律5000円 人材の流出防ぐ 人手不足年功序列賃金崩す H29.4.22土 日経

・若手確保へ 賃上げ手厚く ヤマト 10年未満は1000円 戸田建設 総合職5000円一律 H29.6.9金 日経

「③ 若手優遇」（子ども手当て）に関する記事
・トヨタ 子ども手当1100円 春闘、ベア1300円で妥結へ H29.3.13月 中日

・子育て手当 3倍の1.2万円 大王製紙、来月から H29.3.29水 日経

サラリーマン時代に一律額の特別賞与を提案して、あっという間に経営陣に否定された経験がありますが、どうやら提案がすこし早すぎたようです… 今やこんな風向きの日がくるとはですからねぇ。

それはさておきまして…

これで昨年2017春闘（春季賃金交渉）のおさらいはできました！

間に合いました！

来月を迎える前に、次回は今年の春闘の動きをおさえておきたいと思います。