[109] 裁量労働制でNHKに指導(中日新聞)… ①

NHKは4日、2013年7月に首都圏放送センターの記者だった佐戸未和さん(当時31)がうっ血性心不全で死亡したのは長時間労働による過労死だとして、渋谷労働基準監督署が14年5月に労災認定していたと発表した。」H29.10.5木 日経

「電通事件」もしくは「電通違法残業」で、高橋まつりさんが過労自殺したのは2015年12月、労災を認定したのが2016年9月ですから、その前の「事件」ということになります。

悲しい事件が繰り返され、とてもやるせない思いがします。

ここでこの記事を取り上げたのは「NHK」のケースには「事業場外みなし時間制」が適用されていたからです。

すこしおさらいですが「事業場外みなし時間制」というのは「働いた時間を把握することが困難なとき」に「所定労働時間」働いたことにする!という制度です。

例外措置はありますが、原則的にはこの通りです。

「所定労働時間」とは、朝9時に出社して夕方6時が定時の会社であれば「8時間」ということになります。6時間を超える労働には、1時間の休憩が義務付けられていますので、9時間ー1時間=8時間ということです。念のため…

亡くなった佐戸未和さんは東京都庁担当の記者だったので、てっきり専門業務型裁量労働制を適用されていると予断をもって思っていましたが、事実は事業場外みなし労働時間制だったと報道されています。

わたしが専門業務型だという予断をもったのは理由がありまして、専門業務型を適用できる職種の中に「新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法第2条第28号に規定する放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務」つまり記者の仕事は、この業務にドンピシャだからです。

それにもかかわらず「事業場外みなし労働時間制」が適用されていたということは、なにか理由があるのではないかと思ってしまいます。

実は「みなし三姉妹」にはそれぞれ微妙な個性がありまして、特に労働時間の把握に関しては、「事業場外」と「専門業務」「企画業務」の間には、明確な違いがあります。


「事業場外」は実労働時間を把握できないときの制度なのに対して、「専門業務」と「企画業務」は実労働時間を把握しなければならないのです!

実は専門業務型や企画業務型は、働いた時間を把握することが前提となっています。

「え?ほんとに?」

なんて思う方がいても仕方がないのかもしれません。

「事業外」や「裁量労働」という言葉には、束縛から離れる自由な印象がどうしてもあるからだと思います。

言葉には印象がありますが、法律では厳格に定義がなされている場合がすくなくありません。

ここのところ大切なポイントですので、次回にくわしく解説したいと思います。

今日の記事ネタまとめ

①裁量労働制でNHKに指導 労基署、記者過労死で H29.12.27水(中日新聞)
②NHK女性記者 過労死 残業159時間、労災認定 H29.10.5木(日経新聞)
③NHK女性記者 過労死 14年に認定 選挙取材、残業159時間 H29.10.5木(中日新聞)
④両親「異常勤務 なぜ放置」NHK過労死 局内共有に遅れ H29.10.14土(中日新聞)

2018年02月13日