先回「裁量」を理解するためには「みなし」を理解する必要があるということを申し上げました。
もうすこし解説的に踏み込みますと、「裁量」とは「みなし労働時間制度」の中のひとつの制度だということです。
そもそも法律では、雇っている人がどのぐらいの時間働いているかということについて、完全に把握しなさい!と言っています。
これデフォルトです!
ちなみに把握するのは1分単位です!
ところが営業などの職種によっては、どのぐらい働いているのか1分単位まで把握することが難しい、つまり把握するのにとても苦労する(コストがかかる)という場合があります。
そのような場合には、取り決めをしたうえではありますが、例えば8時間働いたことにしましょう!と約束するという例外が法律上認められています。
これを「事業場外みなし労働時間制」と言います。……①
このほかにもゲームソフトの開発やデザイナーや証券アナリストなどのように職種があまりに専門的過ぎて上司が指示することができない場合があります。
あそんでいるのか、仕事をしているのか、パッと見るだけでは上司には判断がつかない…
上司にとって部下の仕事の指示ができないというのは、上司の責務としていかがなものか…というそもそも論があることはわかりますが、そこは上司の責務を投げ出しても、専門的な生産性を優先する!つまり上司のプライドよりも会社の利益を優先する!と考えると、それもありえると思えてくるので、会社というところはすこし怖いところです…
それはさておきまして…
このような時にも、たとえば9時間働いたことにしましょう!と約束するという例外が法律上認められています。
これを「専門業務型裁量労働制」と言います。…………②
さらに!
経営の新企画を考案する、そのために調査などを行うときに、いちいち上司が指示を出さない方がのびのび生産性をあげることができる!という場合にも法律上の例外が認められています。
これは「企画業務型裁量労働制」と言います。…………③
企画業務型の上司は、専門業務型の上司にくらべて、面目が保たれるかもしれませんね。w
専門業務型の上司の場合には、能力的?に指示ができないと言われているような気がしてもやもやするのに対して、企画業務型の上司の場合には「いざとなれば指示ができるが、細かいことは口出しせんわい!」ということですから、面目躍如ですよね!
すこし「くすりッ」としてしまう場面ですが、ここは専門と企画の性質を分ける大切なポイントですので、できればおさえておいてください。
この①②③を合わせて「みなし労働時間制」といいます!
整理しますと!
みなし= ①場外 + ②専門 + ③企画 ……… ※
こういうことになります。
そして!
②と③をあわせて特に「裁量」と呼ぶということです。
裁量 = ② 専門 + ③企画 ……………………… *
「オレの会社、裁量だぜ!」=3.5%
「オレ、裁量だぜ!」=1.8%
(就労条件総合調査 平成29年度版)
こう言っていたのは、②と③の合計である*式のことだったのです。
で… 実は…
「トヨタ、裁量労働 実質拡大」の制度は、②でも③でもありません!
「えええ? では①ですか?」
①の場外ではありません!
別に「場外」で仕事をする前提ではありませんからね…トヨタの場合、名古屋だったら名駅のミッドランドスクエアか高岡工場とか田原工場などの事務所か工場ということになりますよね。場外は原則的にないのではないでしょうか?
ますますわからなくなってきましたね…
このなぞ?の解説は次回にしてみたいと思います。(つづく)